昨年の夏、東京のちひろ美術館で開催された「ショーン・タンの世界展」。観ることができなかったが、妻が買ってきた図録をたのしんだ。同展は全国を巡回中で、秋の京都に続き、いまは、宮城県石巻市の石ノ森萬画館で展示中である。
このタンさんのグラフィックノベル
『The Arrival』(2006)で、折り紙が重要な役割を持っているということを、最近知った。グラフィックノベルというのは、文字のまったくない物語という意味でつけられた呼び名である。
今日、原著版を買ってきた。写真は、すりきれた本のように見えるがそういう絵なのである。
下は、折り紙が描かれたシーンから抜粋したものだ。
これは、家族を養うために、国を出たひとりの男の物語である。そして、彼の特技が折り紙なのだ。タンさんの筆は写実的なのだが、画面のそこここに奇妙な生物も登場することで、独特な世界がつくられている。その奇妙な生物のひとつが、表紙にも描かれたクリーチャーだ。『ウルトラマン』の「ガヴァドン」の第一形態に細い脚が生えたみたいな可愛らしいやつである。
そいつは、作中で折り紙作品にもなっていて、その絵も描かれている。凝った造形ではなく、「折り紙らしい」造作である。これを、じっさいに折ってみた。伝承のカエルのつくりに似ていて、それでもかたちになったが、ざぶとん折りしたカエルの基本形を用いて、尾や後脚を長くするなど、若干の技巧的な工夫を加えてみた。
◆折り紙的読書
正月休みはいつも以上に本を読んだ。そのいくつかが折り紙に関係している。
ほしおさなえさんの
活版印刷三日月堂シリーズ最新作が、
『活版印刷三日月堂 小さな折り紙』という題なのであった。保育園で折り紙を折っていた幼児が突然泣き出す。その理由は?という話である。わたしは、このシリーズは読んでいないのだが、妻が読んでいて、とりあえずこの話だけ読んだのであった。
セ
記事を書く
セコメントをする