もやもやの解決など
2019-04-15


以下、またまた長々と書いてしまった。

◆時代だと思わない
海部宣男さんの訃報があった。闘病中と聞いていたけれど、薬石効なく。この1年すこしの間に、間接直接にわたしの人生に関係したひとが、相ついで亡くなった。時代の区切りのように思えてしまうが、これは、わたしがそういう年齢になったということなのだろう。改元とシンクロナイズしているかに思えるのも、次の天皇とわたしの年齢が近いからにすぎないのだろう。

芥川龍之介が、『侏儒の言葉』の遺稿部分に、「昭和改元の第X日」などと書いているのは、どういう心境だったのだろう。なんで年号を気にしていたのだろう。たとえば、以下。

眠りは死よりも愉快である。少なくとも容易には違ひあるまい。(昭和改元の第二日)
『侏儒の言葉』遺稿 芥川龍之介)

わたしは、時代がどうだとか思わないように過ごしていきたい。ただ、さきに逝ったひとは、これからのひどい光景を見ないですんだのかもしれない、と思うことはなくもない。しかし、これは、若いひとにたいして申しわけない考えである。

(話は、まったく変わって)
◆ブラックホール
EHT(イベント・ホライズン・テレスコープ:事象の地平線望遠鏡)による、M87銀河の中心核(おとめ座A : Vir A)のブラックホールシャドウの画像が大きな話題になった。新聞の一面に載るほどに話題になった理由は正直よくわからないところもあるが、天文観測の一端にいる者として、こうした成果が大きくとりあげられるのはうれしく、文字通り「絵になる」成果であるのは間違いない。

すこし前、『数学セミナー』『数学短歌の時間』(題:原点)に、天の川銀河の中心(いて座A* : Sgr A*)を詠んだ歌を投稿した。選歌されなかったが、野辺山観測所の技術スタッフとしての実感を素直にこめた歌である。

仰ぎ見る銀河座標の原点(オリジン)の彼方にひそむブラックホールよ

銀河座標というのは、天の川銀河の中心を原点に、銀河面を銀緯0度にするようにして決めた天球座標だ。その原点、すなわち天の川銀河の中心にも、超大質量ブラックホールがある。

超大質量ブラックホールとして一番近くにあるのは、われわれの銀河の中心Sgr A*なのだ。それはM87の中心核よりずっと小さいが、近くにあるので、事象の地平線(面)の見た目の大きさ(視直径)は、M87の中心核と同じオーダーになるらしい。いずれにせよ、事象の地平線を見ようと思った場合、恒星質量ブラックホールは、近くにあっても小さすぎるので、銀河中心核の超大質量ブラックホールでないと、そもそも難しい。Sgr A*は、EHTの観測対象天体のひとつでもある。では、なんで今回の観測がSgr A*ではなかったのか。これは、ミリ波帯で観測したSgr A*の時間変動が大きいので、撮像が難しいからだという。


続きを読む

[折り紙]
[もろもろ]

コメント(全2件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット