月、ミジンコ、深海魚、めかぶ
2018-07-30


わたしは、小学5-6年生のころ、プランクトン少年だった。安い顕微鏡で、身の回りの池の水などをかたっぱしからのぞいていた。昆虫少年のプランクトン版である。鼻先が長いゾウミジンコや、柄がバネみたいになっているツリガネムシ、ちょっと非対称で不思議なかたちのツノモなどが好きだった。接着用のバルサムやメチレンブルーなどの染色剤なども入手して、プレパラートもつくっていた。

この絵に描かれているのは、オオミジンコ、ケンミジンコ(タマゴあるなし)、ミドリムシ、アオミドロに付着したツリガネムシなどだ。右下のはボルボックスで、ほかの丸いものや折れ線状のものは珪藻だろうか。アオミドロの中身の葉緑体は螺旋状なのだが、たしかにこの絵のようにも見える。太陽電池パネルのようで、宇宙感が強まって、ミジンコはミクロ宇宙のスターチャイルド(『2001年宇宙の旅』のアレ)のようだ。

この絵は人気のようで、ミュージアムショップで、絵葉書とクリアケースも売っていた。ただし、それらは『極微の宇宙に生きるものたちII』で、今回展示されていたのは、『極微の宇宙』であった。「II」に比べると、ミジンコがもう一体と、三角の珪藻、クンショウモのようなものが描かれているほか、ミドリムシの配置が変わっていた。

◆深海魚の目
台風の様子を確認するためにつけていたTVで深海生物の番組をやっていた。そこにでてきた、8000m超の海底に棲むマリアナスネイルフィッシュという白いナマズのような魚には目があった。赤外線が見える目とかなのだろうか。

海底(うなぞこ)に眼のなき魚の棲むといふ眼の無き魚の恋しかりけり 若山牧水

海底に眼のある魚も棲むといふいつたい何をどうして見るのか

『ねみみにみみず』(東江一紀著、越前敏弥編)
東江一紀(あがりえかずき)さんのエッセイ集『ねみみにみみず』を読んだ。東江さんは、4年前に60少し過ぎで亡くなった翻訳家だ。このエッセイ集は、「デジタルは及ばさるがごとし」、「神経をサカナで擦る」など、ダジャレ満載である。中でも章タイトルにもなっている「待て馬鹿色の日和あり」はすばらしく、色紙に大書して、日々の指針として、壁にかけておきたい。
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東江さんの駄洒落では、どこに書いてあったのか忘れたが、"「めかぶの酢の物ください」 「『め』か『ぶ』かはっきりしろ」" というものも忘れがたく、我が家では、めかぶを見るたびに、「『め』か『ぶ』かはっきりしろ」が口の端にのぼることが習慣化している。ありがとう、東江さん。

東江さんは、フィリップ・カー氏(このひとも今年の春に、60少しで亡くなった)とか、『数学小説 確固たる曖昧さ』

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