「亜鈴(あれい)立体」など
2012-03-10



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「八分割立方体」
透明のプラスティックシートでつくると、より面白くなる作品ができた。八つに分胞した立方体の六枚組である。折り目の強さにもよるが、絶妙なテンションでまとまっていて、力を加えるとバラバラになる。

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「亜鈴立体」
上の「八分割立方体」もそうだが、XYZ軸構造の六枚組というモデルをいろいろ試している。そのひとつとして、鉄亜鈴のようなかたち六つを組み合わせてみたら、これがなかなかきれいにまとまった(写真上)。モジュール自体が込み入ったかたちのもの(写真左下)もつくってみたが、これはやりすぎのきらいがあるかもしれない。

亜鈴型六つの組み合わせは、すべてのパーツをすこしづつ中心に寄せていけば、剛性のあるものでも可能なので、じっさいの鉄亜鈴でもやってみたい(図下中)のだが、球の直径と柄の長さによっては、うまく組めない。そこで、隣りあう球がぴったり接する場合にどうなるかを考えてみた。

これは、なかなか面白い比率である。球の直径と柄の長さ(球の中心間)の比率が黄金比になるのだ。正二十面体構造だからだ。その場合の柄の太さ(円柱の半径)は、球の半径を1として、0.175..以下と、かなり細くなる。したがって、じっさいの鉄アレイをこれに近いかたちに組むのは難しそうではある。

「アレイ」という言葉からは、仕事柄、「データ配列」や「干渉計」のarrayという英単語が思い浮かぶが、体操器具のアレイ(亜鈴)は日本語である。もとの用字は「唖鈴」で、『大辞林』によると、明治の体育教員養成機関・体操伝習所の第一主幹である伊沢修二によるダンベルの訳語だ。dumb=押し黙った、bell=鈴で、そのままの直訳だ。つまり、「鳴らない鈴」ということである。ここで連想するのは、バーベル(barbell)だ。これに訳語はあるのだろうかと、「棒鈴」を検索してみたがヒットしなかった。

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「12球カプシド」
亜鈴の六本組みから、以前つくったふたつづつ連結した球による正八面体を思い出した。亜鈴のような棒でつながった球のペアではなく、接する球のペアを使うものである。球のペアを6組にして、3本の輪ゴムをかけて、放射状の6本のゴムでひっぱるかたちにした。これは、予想通りきれいに正二十面体構造になった。正二十面体構造になる配置には、鏡像を除外して4種があり(間違いないはず)、引っぱり合うゴムが直交しているものより、そうでないもののほうが力学的に安定しているようだった。充填構造とは異なる、内部に空間がある二十面体構造ということから、ウィルスのカプシド(頭殻)も連想した。
[折り紙]
[かたち・幾何学]

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