◆じつに面白い
東野圭吾さんの探偵ガリレオシリーズの新作
『沈黙のパレード』[LINK]に、折り紙の科学に関する記述があった。ガリレオ先生こと湯川教授が、定食屋で雑誌を見ていて声をかけられるシーンである。
「正解、折り紙だ。一枚の大きな紙を、効率よく、できだけコンパクトに折り畳めるように工夫してある。大事なのは、折り畳むだけではなく、広げる手順もシンプルでなければならないという点だ。なぜそんなことが必要なのか。折り紙といったが、じつはこれらの素材は紙ではなく、太陽電池などの宇宙パネルなんだ。小さく折りたたんだ状態でロケットに載せて宇宙空間まで運び、そこで大きく広げて利用しようというわけだ。(略)この分野の人間なら日本人でなくても、オリガミという言葉は通じる」すらすらと淀みなく話した後、男性客は感想を求めるように夏美の顔を見つめてきた。
(略)
男性客は眉間に皺を寄せると、眼鏡の中心を指先で押し上げた。
「残念ながら、僕がやっていることはこれほど優雅じゃないし、花もない」ため息をつき、雑誌を閉じて傍らのバックに押し込んだ。「よく訊かれるよ、あなたの研究は一体何の役に立つんですか? 生活が便利になるんですか? スマートフォンとどっちがすごいですか?」
と、語る、湯川教授は、モノポール(磁気単極子)の研究をしているらしい。静岡の菊野という土地(菊川がモデル?)が舞台なのだが、遠州が舞台なのは、スーパーカミオカンデの粒子観測装置をつくった浜松ホトニクスからの連想だろうか。なお、ドラマ版の有名なセリフ「実に面白い」は、原作にはなかったと思うのだが、本作ではこのセリフがあって、東野さん、遊んでいるなあと。
新作「ペガサスを探して」が、10/27(土)22:45-23:00に放映される。
シリーズの初めのころは、折鶴博士がモデルを思いつくさいに、それこそ、ドラマの『ガリレオ』ばりに、数式を書いたりするシーンがあったが、最近その演出はない。あの数式や図は、じつは、わたしのノートからとったもので、面白がって見ていたのだけれど。
昨日、印刷博物館の企画展「天文学と印刷」を観てきた。図録がきわめて充実していて、チラシも面白い。デザインが8種類あって、A4サイズのそれを8枚並べると、A1サイズのポスターとなる。印刷博物館だけあって、印刷も凝っている。
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