最後に豆知識として、火星の明るさは地球との距離だけで決まるわけではないことにふれておこう。最も遠いときと大接近の距離は約1/7倍なので、明るさの比はその二乗の約50倍になりそうだが、大接近と最遠の実視等級の差は4.6(-2.8と1.8)で、等級の定義から、明るさは、(100^0.2)^4.6≒70倍となる。火星は外惑星で満ち欠けもない。季節の変化での極冠の大きさが変わる反射率の違いもあるだろうが、そんなに大きくはない。では、なぜか。答えは単純で、太陽と火星の距離で火星自体の絶対等級が変わるためである。大接近のときは、近日点近くであり、遠日点に比べて太陽-火星の距離がに0.83倍近い。そもそも大接近が、会合周期(太陽から見て、火星と地球が同じ方向になる周期)の780日でなく、15年ぶりになるのも、火星の軌道の離心率が高いからだ。この楕円軌道によって、近日点では、距離の比の二乗の逆数の1.4倍ほど明るくなる。これと、地球との距離による約50倍が掛け合わされて、約70倍の明るさの差となる。
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