「ラングレーの問題」など
2018-06-10


◆ラングレーの問題
最近、『数学セミナー』の古い記事に関する話題を耳にした。それとは直接関係はないのだが、連想して、「ラングレーの問題」を思いだした。1920年代にE. M. ラングレーという数学者が数学誌『The Mathematical Gazette』に出題した初等幾何の問題で、日本では、50年ぐらい前に『数学セミナー』『エレガントな解答求む』にも出題された、知るひとぞ知る問題である。50年も前のことなので、同時代的には知らないが、数学パズルの傑作として名高い。

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図のように角度があたえられたとき、角度αを求めよ。

どうということはなさそうに見えるが、これを、初等幾何的(解析幾何を使わずに)に解こうとすると、かなり難しいのだ。中学校の受験で出題されたこともあるらしいが、解けるかどうかは運にもよると思われ、入試問題には向いていない。入試問題には向いていないが、解けるとうれしい問題である。

今回ネットを検索すると、この問題の一般化などを示した『ラングレーの問題にトドメをさす! - 4点の作る小宇宙完全ガイド』(現代数学社、斉藤浩)という一冊の本がでているのも知った。

解法の詳細は示さないでおく(わたしの解法は3本の補助線だった)が、答えは「きれいな値」で、現れる角度はみな整数比になる。三角形の角度が整数比になるということでは、[22.5°,67.5°,90°], [22.5°45°,112.5°],[15°,75°,90°]のような、「正規化した折り紙分子」(これを使うと、モデルが「きれい」になる)に関係がなくもない、と今回初めて気がついた。

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というわけで、あらてめてしみじみと、この図を眺めていた。以前はあまり気にとめなかったが、図左に示したように、青と緑の三角形が相似になっているのも面白い。ただこれは、答えがわかって、相似であることもわかったという順番で、逆に、相似であることで答えを示す道筋は、うまくひねりだせていない。

また、これを、平行四辺形の、対角線による折り返しとみてみた(図中)。すると、きれいに点が一致する(図右)かたちになっていて、これまたきれいである。以前、ヴァリニョンの定理から封筒をつくったように、この特徴を折り紙の作品に活かせないかと、すこし考えた。残念ながらよいものはできていないが、図自体はほんとうに調和していて、額にいれて飾りたいぐらいである。算額にして奉納するのにもぴったりのようにも思えるが、残念ながら、それはすこし違う。なぜなら、和算には角度の概念はない、とされるからである。

◆七弁の花
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数学をテーマにしている

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