オクラの話
2013-02-09


禺画像]
その1:ダビデの星
半年ぐらい前の写真に、オクラを撮ったものがあった。ダビデの星という品種である。野菜の品種名にこの名は大胆だ。そもそも、ダビデの星は六芒星(六点星)だが、このオクラの断面は九芒星である。ウェブを検索すると、個体差ではなく、どれも九芒星になっていて、別名・九角オクラというらしい。一般的なオクラの断面は五角形で、花弁も五弁なので、この品種は九つの花弁という珍しいものなのかとも思ったが、五弁だった。しかし、花芯は九回の回転対称になっていた。(はるなつあきふゆ夕菅の庭参照) 花芯と花弁の対称性のずれという問題にも興味はつきないのだが、品種の命名のことでいえば、イスラエル原産ということでこの名がついているというのもあるらしいが、九芒星なら、ダビデの星というより「バハイの星」か「ガラテヤの星」「大本の星」では? と思うのであった。

バハイ教は、選挙された9人の代表で物事を決めるなど、9がマジックナンバーで、シンボルも九芒星である。また、新約聖書『ガラテヤの信徒への手紙』には、九つの霊的な果実(愛、喜び、平安、忍耐、慈悲、善意、誠実、温良、節制)という話があって、それを象徴する図像が九芒星である。そして、大本教の神紋は、家紋でいう「十曜」で、中央の大きい円の周りを九個の小円が取り囲む9回回転対称の紋なのである。

その2:オクラをついて知らなかったこと
和紙に使われる粘材を採る植物・トロロアオイと、オクラが同じ属(アオイ科トロロアオイ属)であることを知って驚いた。サトウキビの繊維とオクラの「ネリ」で和紙を漉くと、おいしそうな紙ができるんじゃないだろうか。

もうひとつ意外だったのが、オクラという言葉が、和語起源ではなく、英語のOkra(さらなる語源は、ガーナのトウィ語)からきているということであった。そういえば、わたしの小さいころ、オクラという食材を見たことはなかった。日本でこれが一般的になったのは、ここ四半世紀内ぐらいのことだろうか。ただ、初めて食べたときのことは覚えておらず、いつのまにか、昔からある食べ物のような印象になっている。いっぽう、初めての記憶が鮮明な農産物もある。キウイフルーツだ。普及が始まったころ、果物屋さんの店先で見つけて、これはなんだ、食べてみたいと、ひとつだけ買ったことをよく覚えている。
[かたち・幾何学]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット