卵形曲線
2013-01-19


卵形の曲線の式を考えた。

卵形曲線というと、まず、土星の輪の隙間・「カッシーニの間隙」で有名な天文学者・カッシーニが考えたカッシーニの卵形線というものがある。ふたつの点からの距離の積が一定である点の軌跡である。カッシーニは、ケプラーより後代、ニュートンと同時代のひとだ。惑星の軌道に関連してこの曲線を考えたらしいが、それが科学史的にどのような位置づけになるのかは知らない。

(x^2+y^2)-2c^2(x^2-y^2)=k^4-c^4

図は、c=1.1として、k=0.6, 1.05, 1.1, 1.2,1.5で描いたものだ。
k=1.05(赤)のときが卵のかたちになっている。
k=1.1(緑)のときの曲線は、「ベルヌーイのレムニスケート」として知られる曲線の一例である。
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この曲線は、トーラス(ドーナッツ形)の断面にも現れる。トーラスは円を回転させた軌跡である。これを回転軸に平行な切断面で切る。円の半径と、回転軸と切断面の距離が等しいとき、その切断面がつくる曲線がカッシーニの卵形線になる。図は、回転半径=円の半径*約2.1のときで、切断面に卵形が現れている。
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また、デカルトの卵形線というものもある。あのルネ・デカルトが考えたものらしい。

m√(x^2+y^2)+n√((x-c)^2+y^2)=k

図は、m=2, n=1,k=4で、c=2, 2.4, 2,6, 2.8としたものだ。
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いずれも卵形を描けるが、じっさいの卵とこれらの式に合理的な結びつきがあるわけではない。また、図を描く場合は、多項式の陰関数より、媒介変数をつかって(x,y)=...のかたちしたほうが扱いやすい。

極座標の媒介変数をつかった(単位)円の式は(x,y)=(sinθ,cosθ) θ=0...2π である。
このy軸のcosθに工夫をすれば、卵形が描ける。まず思いつくのはa^φbcosφとすることだ。しかし、こうすると、半周を描いてそれを反転させる必要があり、また、卵の底がわずかに凹んでしまう。卵の特徴は、どの面も凸で、かつ曲率がなめらかに変化していることである。

そこで、いろいろ考えて、次の式にした。
(x,y)=(sinθ,a^cosθbcosθ) θ=0...2π

指数関数の「肩の数」をcosφとしたところがミソである。これはなかなよい。
図は、b=1.4として、a=1, 1.1, 1,2, 1.3、そしてa=1, b=1(円)である。
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a=尖り具合、b=概略縦横比と、パラメタの意味も明らかだ。また、じっさいの卵を見ても、黄身の位置は原点にくるようである。卵を描く式としてわかりやすい。

三次元では以下になる。

(x,y,z)=(sinθcosφ,sinθcosφ, a^cosφbcosφ) θ=0...2π, φ=0...π
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(カッシーニとデカルトの卵形線に関しては、『かたちの事典』

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[かたち・幾何学]

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