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書評で見た次の短歌にしびれた。
六面のうち三面を吾にみせバスは過ぎたり粉雪のなか
(
『鈴を産むひばり』 光森裕樹著 から)
そう。バスは移動する六面体、切り取られたデカルト座標である。そして、同時には最大三面までしか見えない。粉雪によって広い三次元空間が描写されているのも効果的だ。
まだ入手していないので、書評とネット書店の立ち読みの数首だけだけれど、ほかにも、次のような「もののかたち」を詠んだ歌があった。
人を待つ吾はめぐりの街燈に暗き展開図を描かれて
野におけば掛かる兎もあるだらう手帳のリングを開いては閉づ
ジグソーの四辺へこめる欠片のみ集めて唱ふ四葉よつばと
視線がすばらしい。わたしは、物語を想像するといった方向にはほとんど向かわず、これらの歌に描かれた「かたち」を味わった。
ところで、いまこれを読んでいるひとで、ジグソーパズルのかたちのパターンを数えあげたことがあるひとはいるだろうか? 答えを書いてしまうと(図で明らかだが)、それは18種である。鏡像を同じとすれば15種だが、ジグソーパズルは片面にだけ絵があるので、鏡像パターンは別と見るべきである。上段左から三番目はパンダの顔に見える。
ジグソーの二辺へこめる欠片のみ集めて唱ふパンダぱんだと
(追記:鏡像を同じとすれば16と書いたが、15の誤り)
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