冬の大三角→切頂→あやめ
2010-02-04


禺画像]
連想ゲームのような話である。(いつものことだけれど)

 まずは、星空を見上げて正三角形のことを考えた。日没時、東の地平線近くに見え、夜9時頃、南・仰角45度ぐらいに輝く「冬の大三角」(シリウス、プロキオン、ベテルギウス)。ほぼ正三角形に明るい星が並んでいる。
 いっぽう、「夏の大三角」(ベガ、アルタイル、デネブ)は、正三角形からはほど遠い。
 人工物でも自然でも、正三角形というのは、案外見かけないかたちである。ぱっと思いつくのは、窓に貼られた非常進入口のマークやウロコ紋といったところだ。
 ときどき見るものには、頂点を切り落とした「小口」の正三角形がある。これは、我が家の駐車場にもあり、2ヶ月ぐらい前、散歩していたさいにも、妙にきれいな細工を見つけて写真を撮った(写真左上)。直方体の頂点ではなく、側面の二面角が鈍角になっている角柱の頂点を切り落としたものだったが、その場合も切り口を正三角形にするのが、職人魂というものかもしれない。

 以上のような連想で、この、切り取った三角錐のことを考えていたのである。側面のなす角度と稜線の長さの関係など、いくつか面白いことに気がついたのだが、いまさっき、思いもかけない収穫に結びついた。

 伝承作品「あやめ」の花弁は四弁であるが、以前、正方形に内接させた特殊な六角形(写真左下の右)を使うことでこれを三弁にしたモデルをつくった。(『おりがみ新世紀』(1989 笠原邦彦著)絶版 所収) 笠原さんに『エレガントなあやめの花3弁化法』と名付けてもらった作品で、技巧よりもアイデアが好きなわたしとしては、密かなお気に入り作品のひとつである。

 そう。直方体の頂点から切り取った三角錐の展開図は、この変則六角形にほかならないのだ。で、けっこう面白い工程だったはずと、この六角形を思い出して折ってみた。すると、同様の変則六角形が、違った方法できれいに正方形に内接可能なことに、思いいたったのである。大きさは若干小さくなる(写真左下の左)が、花弁の白い筋を出しやすいという利点がある。いままでなんで気がつかなかったんだー。

 というわけで、20年ぶりに、自分でも隠れた名作と思っていた作品を改良できたのだった。星空と、タイル職人さんに感謝である。

[追記] 入浴中に「待てよ」と気がついた。あらためて見たら、これ(写真左下の左)は近似だった。縦横で誤差約1%。記憶がないけれど、以前、右を採用したのは、誤差を嫌ったためかもしれない。でも、現在のわたしの感覚では、折り紙作品的に、左がやっぱりよいかな。
[追記の追記] やっぱり、近似ではなく、きちんと取れる。
[折り紙]
[かたち・幾何学]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット