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21年経って増刷された
『石にやどるもの 甲斐の石神と石仏』(中沢厚著)を購入した。復刻版・新装版と思っていたが、ごく普通に増刷というところに、逆に感動した。「1988年12月12日初版第一刷 2009年10月30日 初版第二刷」という奥付がすばらしい。
知らなかったが、この本には、先日甲府の古書市で見つけた『山梨県の道祖神』がまるまる一冊再録されていた。惜しいと思っているのではない。『山梨県の道祖神』オリジナルには、巻末の出版紹介で、『甲斐の落葉』とするところを『甲斐の葉落』とするなど、見所も多いのである(なんだそれ)。
しかし、この21年ぶりというのは、丸石神はやっぱり「きている」のか?
丸石は台石上に置かれていても野草にうずもれていても、ただそれだけの丸石だけに尊く美しいと見る。葉もれ日をうつすときも雨にうたれてあやしく光るときも、この神々しさ、この美しさに勝るものが他にあろうかとさえ思います。その造形の平凡さのもつ奇態の美しさを何と表現していいのか私は知りません。
『丸石神の謎』(中沢厚)から
というわけで、中沢さんの丸石神への惚れ込みかたは尋常じゃない。そして、研究者として、息子の中沢新一さんとも義理の兄弟の網野善彦さんとも、立ち位置が異なっているひとで、文体も含めて、なんとなく宮本常一さんを彷彿とさせるところがあった。
なお、同書には、丸石神の写真もさまざま載っているのだが、「丸石神の謎」という章の冒頭に、
長沢集落の丸石神が取り上げられているのが、友人を紹介されたようでうれしかった。
また、
信濃の丸石で触れた生坂村のものに関しても、「今成隆良氏から、(略)生坂村に三カ所の丸石道祖神があると御教示いただいた」との記述があった。
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