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長いこと積読にしていたのですが、やっと読みました『生物と無生物のあいだ』。あまりにも迂遠と思われる書き出しに、読み進めるのをとまどっていたのです(笑)。でも、読み終わってみると、この本は他の書き方ができなかったのではないかと思い直すことになりました。とくに前半、分子生物学の黎明を描く筆致は、表紙の惹句にもあるように、ミステリーを読んでいるようで、ぐいぐい引き込まれて。面白かったです。
動的平衡については、宮沢賢治の「わたくしという現象」という言い方を思い出しました。著者自身の経験から中心テーマに据えられていましたが、読者としては、少しはぐらかされたような気分。生命への畏敬は重要だと思うのですが、科学の方法を問い直すには、材料が微妙すぎる気がします。大根を正宗で切っているような。前半の比喩の切れ味が冴えていただけに、もったいない気がしました。とはいえ、私はこの本から、研究者が研究対象に抱く情熱をこそ学ばなければならないのかもしれません。
最終章に至ってこちらのブログの記述を思い出したのですが、もう一年以上前の記事だったのですね。なんとのんきな私であることか。
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